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 精神分析はある意味では、原則的に、どのような方にもお役に立てます。それは個人がいままで隔てていた自分自身の一部と真に出会い、よりその人らしくいきいきと生きるためのものだからです。

 誰でも人間は無意識のとらわれを抱えています。しかし、そのとらわれが大きすぎて、絶えず人間関係の同じような局面で破綻したり、失敗されるような方は大きな人生の苦しみに直面されるでしょう。そのようなとき、精神分析や精神分析的セラピーは無意識のとらわれを本質的に解決することによってお役に立ちます。

 また、とらわれの結果、不安や恐怖や抑うつに悩まされたたり、さまざまなことが自由にできなかったり、いわゆる精神症状を経験されている方にも役立ちます。

 ただ、精神科医、心療内科医にすでにかかっておられる方は、主治医とご相談されてから受けるかどうかをお考えになってください。

  人を援助したり、支持したり、教育したり、世話したりする職業の方で、そうした人間関係にお苦しみの方がいらっしゃいます。巻き込まれすぎたり、燃え尽きてしまったり、利用されたりするような傾向をお持ちの方です。そうしたことから自由になりたい方、そうした職業に就くための人間的準備が必要とお考えの方にはたいへん役に立ちます。

  いわゆる創造的なお仕事の方、学者、芸術家、作家といった方にも、精神分析や精神分析的セラピーは、自分の全体性との触れ合いのなかからより本質的な創造への動機を生み出し、創造を邪魔していたものから自由になることによって、お仕事にいい影響を与えます。

 ただおわかりのように、分析を受ける方は生活時間を定期的に分析のために使う必要があります。一方、分析家も週1回から4回までの一週間の決まった時間をその方のために将来にわたってずっと空けておかねばなりません。たとえばAさんは水曜日の午後7時、Bさんは月曜から金曜日まで毎日午前10時、というようにです。

こうしてひとりの専門家の時間をひとりで将来にわたって継続的に占有することになることから、必然的にお金もかかります。

 おわかりのように、ひとりの専門家がいちどきに多くの方を引き受けることはできないからです。保険医療での精神科クリニックのように一日30人、40人とお会いすることができません。

 このように時間とお金のコストが大きいので、それなりの動機を持っておられない方は始めても続かないことになります。また人によって、もしくは状態によっては、濃密な情緒的な仕事によって分析を受ける方を消耗させて、セラピーの継続が困難になることもありえます。精神分析・精神分析的セラピーを受けることが分析を受ける方の利益になるかどうかを、精神分析家は総合的な立場から評価する必要があるのです。分析家は、そうしたことを評価し、見通しをもつための面接をまず最初に数回もつことが多いです。